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◆Repent

震える声で紡がれた言葉は、拙く脆かった。

――私を、殺して。

暗くした部屋に、無遠慮に侵入してきた女。
真っ白なシャツが、暗闇にひどく浮いて見えた。

「…どうして僕に言うの?」

さして驚いた様子もなく、静かに問う男。
赤い月と紺色の星空を背に、窓の縁に腰掛けている。
女から男の表情は見えない。

「…分かんない」

困ったように眉間に皺をつくり、軽く俯く女。
さらり、と長い髪が揺れた。
そして、聞き逃してしまいそうなほど小さく呟いた。

「慰めて、ほしいのかも…」

「…僕に?」

ふっと息をこぼし、笑うとも呆れるともつかない声音で、再び問う。

「……ん」

また、ごく小さな声で返ってきた返事。

「突き放したのは、君なのに?」

少し冷たくなった声は、一体何を表しているのか。
自分でも理解できない。
けれど。

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