保存用

「ごめ、んなさい……」

そうして吐き出された謝罪に、緩く口角が上がる。
ああ、本当に。

「馬鹿みたいだ」

「…っ」

男の台詞に、弾かれるように上がった女の顔は悲愴に満ちていて。
だからだろうか。

「死にたいの?」

からかってみたくなる。
そうしたら、きっと。

「違…っ!」

ほら、間髪入れずに反論が返ってくる。
予想通りなのが面白くてたまらない。
でも、からかいすぎるときっと拗ねてしまうから。

「知ってる。おいでよ」

男がそういって柔らかく微笑むと、女がゆっくりと男に歩み寄る。
ぺたぺた、ぺた。
裸足の足音が小さく鳴る。
透明な雫が床に落ちて、2つの影が重なった。





end.

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