保存用

これがいつもの私。
日常。

けれど時々、

「うわ、それないよー」
「ねー!さらにね――…」

本当に時々だけど、

「いやー、何それ。最低ー!」
「ふざけてるよねー」

今、この状況が
隣で喋っている友達が
パタパタと前を行く人の足音が
教室の外で鳴く鳥や蝉が
さわさわと風に揺らされる木の葉の音が
バサリと翻る制服が

私を取り巻く全てが

煩わしくて、仕方なくなる。

メチャクチャに
原型が分からなくなるほどメチャクチャに壊してしまいたくなる。

そうしたら一体、壊されたものはどうなるだろう。
そうしたら一体、壊した私はどうなるだろう。

そんな疑問と好奇心で思考が埋め尽くされる。

しかし、

「ねぇ、メイちゃんはどう思う?」

友達の、隣を歩く子の声で現実に引き戻される。

やはりそれも煩わしい。

関わるな、話し掛けるな、近寄るな、触るな、見るな

そう言ったら一体どうなるのか、知りたい。
試したい。


でもそんなことを言ったらどうなるか、分かってる。
この時が全てが、崩れる。
臆病者の私はそれが分かってて、言えるはずないから、

「そうだなぁ…」

私はその衝動を押さえ付けて、友達と言葉を交わす。

本当は知っている。
この衝動は、
この瞬間
この声
この音
この全てが、かけがえのないものだと

「私は――…」

この、煩わしいと感じたすべてを、愛している証拠だと

知っていながらなおも壊したいと、そう思う好奇心を押さえ付けて、

今日も私は日常を過ごしている。





end.

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