秘密事は図書室で~甘い会長の罠~
「…晶奈…」
耳の鼓膜を震わせたのは、最近聞いていなかった、甘くてちょっと低くて
あたしの身体中によく響く声。
まさかと思い、ドアの隙間から覗き込むと…
「ぁっ……」
泣いている下屋敷先輩と、こちらに背中を向けている
神崎先輩の姿があった。
うそ
うそっ…
先輩…告白、されてたの?
下屋敷先輩に?
思ってもいなかった出来事。
突然過ぎて頭が回らない。
ただ、下屋敷先輩の声が震えていたこと
神崎先輩が下屋敷先輩を見つめていること
「晶奈」と呼んだ声が、とても優しく、苦しそうだったこと
それだけが、頭の中をぐるぐると回っていた。
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