空を愛した君へ-この空を君にあげる-
☆第1章★ 立ち止まった日
それは、とても蒼くて雲ひとつない空が広がる日
あたし坂口莉夜(さかぐちりいや)は、その空を遠目に見ながら自転車を学校へと走らせていた
真冬の寒さで息は白い
少し荒くなった呼吸、真っ赤な鼻と耳、かじかむ手…
冬の寒さが私を包み込んでいた
「さむっ!」
思わず声を漏らすあたし
それと同時に吐き出した息は白く染まった
「そろそろ自転車は厳しいかも…」
そうは思っても他に手段がないのが悩ましいところ
マフラー、手袋、コートに帽子…寒さ対策はここまでかというほどしている
でも冬の寒さにはかなわない
学校に着き、教室に向かう
いつもなら部活だけど今日は週一の休みの日だった
「おはよう」
「おはよっ、りぃ」
仲のよい友達はあたしのことをたいてあ“りぃ”と呼ぶ
挨拶を交わしたのは同じバスケ部の神崎純(かんざきじゅん)
「今日の体育バスケだったよね?」
「だったんじゃない?」
「やばっ、うちらの時代きちゃったじゃん」
「まぁ、確かに」
目立ちたがりの純は絶好の機会に喜んでいるようだ。
別にあたしはバスケができればいい
いつも部活でやるのとは違うあのゆるさが楽しい
私は席に着き、授業の準備をした
窓から見える景色は殺風景
空だけがどこまでも青く広がっていた