大富豪
当然、斉藤もパスで、順番は、藤川からとなった。

「そういえば、あんたら二人、まだ何にも出してねぇな?かわいそうだから出させてやるよ」
この言葉に、俺はむっとして藤川を睨みつけた。
俺とお前とじゃ背負ってるモンが違うんだよ!その感情を口には出さず、目で精一杯伝えた。

藤川は、そんな視線は関係ないといった様子で3を出した。

なめているのか…。だがこれで出せるかもしれない。

次の斉藤は、10を出した。市原はすぐにJを出した。俺もすかさずQを出した。
藤川は、カードを取り、ひらひらさせながら話し始めた。

「俺は、結構運は強くてな…トランプなんてのは、毎回いいカードが手札に来るんだよ…お前たちと違ってな…」
そして、Aを出した。

まただ…2といいAといい、こいつは確かに強運を持っているかもしれない。


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