大富豪
それを確認して、市川はAのダブルを出した。
俺のカードを持つ手に力が入る。
隣を見れば、藤川も同じだった。
何故コイツにばかりこんなカードが?

そのとき、藤川がカードを叩きつけ、向かい側に座っている市原の胸倉を掴み、ずいと引き寄せた。

「イカサマしてんじゃねえのか?あぁ?」

喧嘩口調で詰め寄る藤川の手を、市原が払い除ける。
「配ったのは組の人だ。僕がイカサマできるわけないだろ?!」

確かに、ゲームが始まる前にカードを配ったのは、この組織の人間だった。

ちっと舌打ちをして不満そうに座る藤川から目を逸らし、さっとカードを流す。

それを見て斉藤が急に声を出した。

「お前、ジョーカー持ってるだろ?」
 
 

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