クーラーの部屋【短編】
「『静音』って、まじお前にぴったりな名前だよな」
「そうかな?」
喋りながら器用にコントローラーを操作する姿に関心しながら何も考えず返事を返す。
淡々とした口調と淡々と過ぎる時間。
それに何の疑問も抱かない。
「そうだよ。お前と一緒だと静かな音しか聞こえねえんだよな。
ここ以外だと、ゲームも蝉の鳴き声もやけに耳につく。
ここだと、色んなことがやけにゆったりすんだよ」
彼の口調もゆったりとしていた。
私も無意識にワンテンポ置いてから言葉を返す。
「そんなことないと思うけど。それをいうなら浩平だってそうでしょ。
広く豊かに平らにって意味の漢字でできた名前でしょ。
だからゆったり淡々と時間が過ぎてるんじゃない?」