距離は遠とし。


「あの子が死んだ理由はきっと赤ちゃんができたからだと思うの」


俺もナホさんの話しを聞いてそう思った。


「遺書にも"ごめんなさい"って何度も書かれていたわ」


ミミらしい。


「ツキくんはミミを許せる?」


「俺は・・・ミミを許すことはできません」


「あたしもよ」


「生きていてくれれば俺はずっとあいつを支えることができました」



何度も生きていてくれればと思った。


「そうね・・・ミミはバカね。人生まだまだだったのに」


「はい。だから・・・だから死んだミミの分も俺は生きたい」


「・・・ツキくん」


「ナホさん、俺にとってミミはなによりも大切な存在でした」

なにがあってもミミと比べたらミミの方が大事だった。


「ミミが大好きでした」


ミミがすべてだった。


「だから、ミミを想いながら俺は生きていきます。


そして自分を誇れる人生を歩みます。

死んだときに、天国でミミに会ってもまだ俺のことを好きでいてもらえるように」


「あ・・りがとう」


ナホさんは涙を流しながら笑った。


そして俺も笑った。


< 32 / 39 >

この作品をシェア

pagetop