距離は遠とし。

「俺の願い事なんてお前がいないと叶わねーよ」


空に言ったってミミがなにかを言ってくれる訳がないのは分かってる。


それでも、やっぱり口にして伝えたかった。



「ミミ・・・ありがとう」


ミミが死んだ日、あいつはネックレスをつけていた。


あの日、俺がミミに買ってあげたネックレスだ。



俺はそのことをナホさんから聞いた時、

とても嬉しかった。



最後まで俺を想ってくれたからだ。



「なぁ、ミミ。お前は"幼なじみ"は"他人"より遠いって言ったけどさ、

俺にとって"幼なじみ"は"他人"よりすっげー近い存在だと思うんだよな。


でも、きっと不器用な距離なんだよ。

そんな不器用な距離に俺たちはいたんだ。

だから遠いなんて言うなよな」


遠いなんて悲しいだろ?



1日1日終わるとき、思い出すのはいつもあの日最後に見たミミの笑顔だった。



ミミが死んでも変わらず時が進む。



でも、俺のミミへの気持ちは変わらないから。


だから・・・・



俺が死んだとき、またあの日の笑顔で迎えてくれよ。



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