距離は遠とし。

「ほい」


お見事だ。


あたしの目の前には綺麗な半熟タマゴで覆われたオムライス。

あたしの大好きなオムライス。


あたしの大好きなツキが作ったオムライス。



「ありがとう」


「どういたしまして」


ツキは自分のオムライスを机におくと、あたしの目の前の椅子に座る。


「美味いか?」


「うん、美味しいよ」


あたしは笑顔でうなづく。



ツキは笑う。




この空間があたしは大好きだ。


「なぁ、ミミ」


「なに?」


オムライスを口にしながら返事する。


「なんで朝からオムライスなんだ?」


体が一瞬固まった。


「・・・ただ食べたくなっただけだよ」


オムライスに視線を向けて言った。


「本当か?」


「本当だよ」


ごめん、嘘。


本当のことは言えないよ・・・。



「ツキ―」


「ん?」


「今日学校サボろ?」


「は?」


ツキは口を開けてスプーンからオムライスを落とした。


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