あの雨の日、きみの想いに涙した。



女と電車に乗って帰っただけで噂になるなんて本当にアホらしい。きっと他の人だったら噂にならないことも俺だからなるんだと思う。

俺が……冴木由希だから。


べつに噂なんていつか消えるし気にしない。今まで流れた噂を数えたらキリがないけど、なぜか今回の噂は少しだけ引っ掛かった。たぶん一緒にいた女が青木だからだ。

もしかしたら一緒にいた女が青木だってわかって、南女子校で色々と聞かれているかもしれない。

こんなことでいちいち噂してんじゃねーよって思う。


それから昼休みになって俺は屋上に向かった。

屋上は人がいないし静かだから落ち着く。もっとも周りは俺をひとりにはさせてくれないけど。

< 100 / 291 >

この作品をシェア

pagetop