あの雨の日、きみの想いに涙した。
「由希、やっほー」
屋上のドアを開けると〝待ってました〟という感じに女があぐらをかいて座っていた。
予想はしていた。女がいないことのほうが少ないし、こうして待ち伏せされることも珍しくない。
「ねえ、由希聞いたよ。昨日女の子と帰ったんだって?放課後もオッケーなら言ってよ!」
女はすぐに俺の腕に手を絡ませた。俺はいつもどおり手をはらって、その場であお向けになる。
空は今日も青かった。そしてまた青木の顔が浮かんでしまった。
「由希ってばー」
女は俺の横に座って猫なで声で見つめてくる。そんな声なんて耳に入ってこなくて、頭では全く違うことを考えていた。
もしかしたら……俺は変われるのかもしれない。
ふっとそんなことを思った。
だって今まで口にすることのなかった言葉を今言おうとしてる。
「俺もう女とヤるの止めるから」