あの雨の日、きみの想いに涙した。
それから午後の授業を受けて放課後になっても噂は広まる一方だった。
「由希ー!!本命の女できたの?嘘だよね?」
駅へ向かう帰り道、女に捕まった。これでもう4人目。まだ学校を出て数十メートルなのに勘弁して。
「ねー由希ってばー!」
シカトすればするほどしつこさを増す。
周りを見るとあちこちに女がいて、たぶんこの女を振りきれたとしてもまたべつのヤツがくる。
永遠に終わらないイタチごっこ。さて、どうするか。俺は考えてこの女たちを全員黙らせる方法を思いついた。
「そうだよ。本命の女ができた」
そう言うと周りの女たちが一瞬で止まった。俺はその隙に足早に駅へと向かう。
本命ができたなんて我ながらありえねーけど、そう言ってしまえば嫌でも納得するだろうし。