あの雨の日、きみの想いに涙した。



暫く経ってやっと受話器を置いた。

すぐその場に座り込みガタンッと壁に寄りかかる。あいつの言葉を繰り返し頭でリピートしながら、なにかが崩れていく。


『……は、はは……。あははは』

笑いが止まらなかった。


『あはは……はは……っ』

――ドンッ!!そして思いっきり床を殴った。


振動でテーブルや物が激しく揺れる。骨がピキリと軋んで拳を握ったまま俺は動かなくなった。


痛かった、痛かった。

でもそれは骨の折れた右手じゃない。

もう体中が全部が痛かった。


『そっか……そうだったんだ』

うわ言のように俺は呟く。


俺が欲しくてたまらなかったもの。探しても探しても見つからなくて、だれとなにをしてもどこにもなかった〝繋がり〟


俺は……俺は生まれた時から世界で一番許せない男と繋がっていた。

どんなことをしても繋がれなかったのに、だれとも繋がれなかったのに、俺は昔も今もあの男と繋がっている。


笑いが止まらなかった。

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