あの雨の日、きみの想いに涙した。
「ハァ……ハァ……ハァハァ……」
男たちが顔から血を流しながら肩で呼吸をしていた。
「ハァ……こいつなんで倒れねーんだよ」
キーンと耳の奥で耳鳴りが鳴っている。体の限界なんてもうとっくに過ぎていた。当然だ。もう散々サンドバックのように殴られたあとなんだから。
それでも俺は負けない。絶対に倒れない。
俺はぼやけた視界で男たちを睨みつけた。体はボロボロなのに闘志はまだ死んでいなかった。
「……ッ。やべーよこいつ。本当にイカれてる」
「もう……行こうぜ。相手にしてらんねー」
男たちは倒れてる仲間を担いで夜の町に消えた。
ドクン………ドクン……。
男たちがいなくなった瞬間、俺の体はズルッと壁にもたれ掛かった。
やけに心臓の音がうるさい。血の流しすぎか?
俺は座りながら周りを見渡した。
そういえば……ここはどこだ?
上を見ると建物と建物の間から灰色の空が見えた。されるがままに連れてこられたけど、たぶんどこかのビルとビルの間。
人気もなければ音もしない。まるで捨てられたゴミのように俺は傷だらけだった。