あの雨の日、きみの想いに涙した。
『お前が俺のことなんて背負えるわけねーだろ』
青木の背中は小さくて、だれがどう見ても不可能。
仮にもしできたとしても俺は同じように断る。男が女におぶられてる姿なんて想像しただけで情けない。
『大丈夫!私けっこう力あるし。ほら早く』
『………』
おぶられるぐらいなら俺は死ぬ気で歩く。そう思って気合いを入れたら意外に体は言うことを聞いてくれて、俺はゆっくりと壁を使いながら立ち上がった。
『なんだ。立てるじゃん』
『うるせーよ』
でもさすがにひとりで歩くのはムリだったから青木の肩を借りることになったけど、おんぶよりは全然マシ。
だれかに家を教えるなんて考えられないことだったけど、今さらそんなことはどうでもいいや。