あの雨の日、きみの想いに涙した。
『ここまででいい』
家の前に着いて俺は青木に言った。
『え?なに言ってんの?』
『もう大丈夫だから』
『家に上がられるの嫌?』
『嫌だったら家を教えたりしねーよ。ただ……』
『ただ?』
……これ以上カッコわるい姿を見せたくないというか、世話になるのは気が引けるというか。
『うーん。よくわかんないけど嫌じゃないなら上がるね。お邪魔しまーす!』
『え、ちょっ……』
そうだ。青木はこういう女だった。
俺の言うことを素直に聞くヤツじゃなくて、許可しなくても強引に物事を進めようとする性格。
青木は家の中に入って、俺をベッドに寝かせて『すぐ戻るから!』とコンビニまで猛ダッシュ。そして今に至る。