あの雨の日、きみの想いに涙した。



「私ね、中学の時保健委員だったの。包帯巻くの上手いでしょ?」

たしかに青木は器用だった。手際もいいしあっという間に俺の傷の処置をしていく。


「ってか、時間平気?」

俺の部屋に時計がないからわかんないけど、たぶん23時は過ぎてると思う。


「うん。大丈夫、大丈夫」

青木の髪の毛や洋服は濡れたままで、絶対に気持ちわるいはずなのにコンビニまで走って俺の手当てを優先してくれた。


「着替える?」

「え……?」

「買い置きのスウェットならあるから」


青木は隣の部屋で着替えて、俺もその間に着ていた洋服を脱いだ。ケガをしてない左手だけじゃ上手く新しい洋服を着れなくて手間取っていると……。


「ひぃ……ご、ごめん」

半裸の姿を見られて青木が慌てて隣の部屋へと戻る。


ひぃ、ってなんだよ。俺は化け物か。

とりあえず洋服を着終わった俺は「いいよ」と向こうの部屋で立っているだろう青木を呼んだ。


青木は俺の黒のスウェットを着て出てきた。想像はしてたけどブカブカで手足の裾を捲っていても、生地が有り余っている。


「こ、こういうのってよくあるよね!女の子が男の子の洋服借りる場面。少女漫画とか」

なぜか青木はよく喋る。恥ずかしいのか戸惑っているのか、俺は漫画とか読まないからよくわかんないけど。

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