あの雨の日、きみの想いに涙した。
なんとなく青木に連絡をしなきゃと思った。
お礼は言ったし、他になにか言わなきゃいけないことは……って俺のスマホ水没したんだった。……本当に使えねー。
色んな不便さを感じながらため息をつくと後頭部に〝なにか〟が当たった。左手で枕元を探るとそこには1台のスマホ。しかも俺のじゃなくてぜんぜん見覚えのない白いフォルム。
スマホを見ると待ち受けは初期設定で、メールが一件届いていた。
受信ボックスを見ると他にメールはなくて、まるで新しく買ったスマホのよう。でも外見をよく見るとけっこう傷が付いていて新品ではなさそうだ。
メールには〝青木夏月〟と登録されたアドレスに【冴木くんへ】と書かれた題名。俺は迷うことなく開いた。
【このスマホは少し前まで私が使っていたやつです。冴木くんのSIMカードを見たら大丈夫そうだったから勝手に差し替えちゃった。水没してるみたいだし、お古だけどないよりあるほうが便利だと思って。データは全部消してあるからこれは好きに使ってね。あと、またまた勝手なんだけど私のアドレスと番号登録しといたよ。もし困ったことがあったらいつでも連絡してね。青木】