あの雨の日、きみの想いに涙した。




電車に二時間揺られて、下れば下るほど窓から見える景色は田舎町になっていった。俺は駅に着いて指定された火葬場へと向かう。 

空を見ると俺が好きな雲ひとつない青空だった。


ばあちゃんは昔からすごく人から好かれる人で認知症で老人ホームに行くことになってしまったけど、たぶんそこでも色んな人に好かれてたんだろうなって思う。

だって火葬場に着くとたくさんの人がいて、たくさんの人が涙を流していたから。


そういえば母親が死んだ時も大勢の人が泣いていたっけ。それを見て涙が一滴も出ない自分がとことん薄情なヤツに思えた。

ばあちゃんの火葬は10時に行われた。高い煙突から青空に向かって流れていく煙。

あれがばあちゃんだとは思えないけど、二度と会えないという悲しみは本物だった。


俺はそんな青空に溶けていく煙を見ながら、ばあちゃんに話しかける。

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