あの雨の日、きみの想いに涙した。
俺はこの日から少しだけなにかが吹っ切れた気がした。そして2日後。プルルル……と耳元で鳴る発信音。
『はい……?』
疑問形で電話に出た相手。
『俺、スマホ替えたから』
電話した相手は青木だった。青木に電話をしたのはこれで二回目。替えたばかりの新品のスマホにはじめて載る発信【青木夏月】の名前。これは自分で登録した。
『え?番号も変えたの?』
青木が疑問形だったのは知らない番号だったから。俺は新しいスマホにしたついでに番号も新しくした。なんとなく全てをリセットしたかった。
500件以上あった電話帳が今は一件だけ。これからはちゃんとした繋がりで登録したいから。
『明日から学校に行くよ。それと……あとで借りてたスマホも返すから』
『え……ちょ……』
プツン。プープ……。通話時間はわずか30秒。
青木の言葉を無視して強引に電話を切ったあとで、なんだか妙に緊張していた自分がいた。
べつに今日は用があったわけじゃない。番号だってメールで教えれば済むことだったのに、なぜか青木に電話をかけていた。
はあ……緊張した。本当に我ながら〝らしくない〟