あの雨の日、きみの想いに涙した。



俺はこの日から少しだけなにかが吹っ切れた気がした。そして2日後。プルルル……と耳元で鳴る発信音。

『はい……?』

疑問形で電話に出た相手。

『俺、スマホ替えたから』

電話した相手は青木だった。青木に電話をしたのはこれで二回目。替えたばかりの新品のスマホにはじめて載る発信【青木夏月】の名前。これは自分で登録した。


『え?番号も変えたの?』

青木が疑問形だったのは知らない番号だったから。俺は新しいスマホにしたついでに番号も新しくした。なんとなく全てをリセットしたかった。

500件以上あった電話帳が今は一件だけ。これからはちゃんとした繋がりで登録したいから。


『明日から学校に行くよ。それと……あとで借りてたスマホも返すから』

『え……ちょ……』

プツン。プープ……。通話時間はわずか30秒。

青木の言葉を無視して強引に電話を切ったあとで、なんだか妙に緊張していた自分がいた。

べつに今日は用があったわけじゃない。番号だってメールで教えれば済むことだったのに、なぜか青木に電話をかけていた。

はあ……緊張した。本当に我ながら〝らしくない〟

< 151 / 291 >

この作品をシェア

pagetop