あの雨の日、きみの想いに涙した。
認めたくはないけど竹田の言ってることは全て当たっている。スマホを気にしてるのは事実だし、ため息も無意識にしてるっぽい。その原因は全て青木だ。
『俺……青木がいたから今も生きてるよ。それで、これからも生きていけると思ったよ』
それを言って別れて以来、青木から連絡がない。
べつに俺だって用事があるわけじゃないけど、あいつの性格なら『体の具合はどう?』とか『傷は治ってきた?』とか世話を焼いてきそうなのに。
だけど俺からは連絡したくない。だってあの時泣いていた理由がわからないのに、なんて連絡すればいいんだよ。
あー、考えてたら頭痛くなってきた。
つーかなんでこんなことで悩まなきゃいけねーの?
……その瞬間、ブーブーとバイブ音が机の上で鳴った。表示された名前なんて見なくてもわかる。スマホを新しくしてから青木と竹田にしか連絡先を教えてないから。
画面を確認すると一件のメッセージ。
【今日星を見に行かない?】
久しぶりにきた青木のメールはたったの一行。
なんとなくそれが気にくわなかったけど、メールの返事をすぐしようとしている自分が情けない。
俺はいつだって青木に振り回されてる。だけどこんな一行のメールで心がスッキリしてしまうなんて本当に単純。
俺はただひと言【いいよ】と送ってスマホをポケットに閉まった。
2限目がはじまるチャイムが鳴り、みんな一斉に席へと着く。俺は机に肘を付きながら窓から空を見た。
空はペンキで色をつけたように青空で、これなら綺麗な星が見れるかな、なんてそんなことを思った。