あの雨の日、きみの想いに涙した。



学校が終わって俺は家へと歩いていた。空を見ると昼間は青空だったのに、今は少しだけ灰色が混ざっている。


――『今日は夕方から雨だよ。残念だね』

あの女の言葉……。あれは一体どういう意味で言ったんだ?

まるで俺が夜に星を見に行くって知ってるみたいな……。

いや、そんなわけがない。青木と俺のやり取りを他人が知っているわけがないんだ。


俺はあまり気に止めずに家路へと急いだ。家に帰って暫くするとあの女の言っていたとおり雨が降ってきた。

通り雨というレベルではない、どしゃ降りの雨。


俺はテレビをあまり見ないし、天気予報なんてチェックしないから夕方から雨が降るなんて知らなかったけど、もしかしたら青木も俺と同じで知らなかったのかもしれない。

これじゃ星なんて出てないし見ることもできない。俺はスマホを出して一応青木にメールをしてみた。


【雨降ってるけど、どうする?】

その返事はいくら待っても返ってこなかった。
時間も場所も指定されてないけど、星を見るならたぶんあの場所だ。


前に青木と星を見た俺の母校。俺は正直迷っていた。この天気じゃ星は見れないし、青木からの連絡もない。行ったとしても青木はいないかもしれないし。

……でも、もしいたら?
俺のことを待っていたら?

そう思ったらいてもたってもいられない気持ちになった。

< 164 / 291 >

この作品をシェア

pagetop