あの雨の日、きみの想いに涙した。
そして俺は辺りが暗くなってきた頃に外に出た。
雨は嫌いだし、こんな日は外に出たくないのが本音。でもこのまま家にいてもなんだか落ち着かない。
青木があの場所にいないならいないでいい。星なんて今日じゃなくたっていつでも見れる。
俺は透明のビニール傘をさしながら中学校に向かった。その途中で青木と馴染みがあるコンビニの前を通ったけど青木はいなかった。
暫く歩いて俺の卒業した中学校に着いた。夜ってだけで薄気味わるいのに、雨のせいで不気味さが倍増している。
俺はさしていた傘を門の向こう側に放り投げて、そのあと自分も弊を使って中に入った。
少し雨に濡れた体を叩(はた)き、地面に落ちている傘を拾い上げる。そして迷うことなくプールのほうへと足が動いた。
緑色のフェンスに覆われたプールは雨の滴で波打っていた。外灯も月明かりもない暗闇。地面に落ちる雨の音と一緒に聞こえた少し違う音。
その音は俺の頭上にも響いている。そう。ビニール傘に当たる雨の音だ。
ポタ、ポタポタッと俺の傘と交互に聞こえてくる音の先には……青木が立っていた。