あの雨の日、きみの想いに涙した。
「ねえ、知ってる?ここら辺の空ってよく流れ星が流れるんだよ」
雨の音が止んで、青木の声がやたらとクリアに聞こえてきた。
流れ星……ね。正直、まったく興味がない単語。だって流れ星って三回願いごとをすると叶うとか言うジンクスだろ?
叶うわけがないし、願いごとなんてない。
それに……流れ星を見てすぐに願いがでてくるヤツは常に願いを持ってるってことだ。
俺には絶対にムリ。流れ星とは関係なしに今〝願いごとはなに?〟と聞かれても答えられる自信がない。
「青木は……流れ星が通ったらなんて願いごとすんの?」
「えーなんだろ?……すぐに出てこないな」
ちょっと意外だった。青木はつねにたくさんの願いを持っていそうなのに。
「女で願いごとがないのは珍しいな」
俺は見上げていた首が疲れたから通路の壁に背中を預けた。
女って日に日に願いごとが増えてく生き物じゃねーの?まあ、俺の勝手な言い分だけど。
「はは、珍しいのかもね。私の友達だったら即答で2、3個は出てくるよ」
青木は笑いながら俺の横に移動してきた。