あの雨の日、きみの想いに涙した。
だけどわかったことがある。生まれも育ちも香月町と言ったこと。そして俺も行くコンビニにも行くと言ったこと。
やっぱり宮野麻奈は俺と同じ中学出身かもしれない。
だけどそれがわかったところでなにか変わるわけではない。
正直中学なんて学校に行かなくても進級できたし、三年間を適当に過ごした記憶しかない。
だからその分、深く関わった人間もいない。
卒業アルバムとかを見れば宮野麻奈が本当にいたかどうか証明されるけど……卒アルなんて俺が持ってるわけがない。
というか、たぶんいらないとか言ってもらわなかった気が……。
そんなことをぽつりぽつりと思い出しながら俺は青木が待つ家へと急いだ。
家に着いてそっと部屋のドアを開けると青木は寝ていた。
すっぽりと布団に埋もれてるけど寝息はしっかりと聞こえてくる。俺は起こさないように静かにコンビニの袋をテーブルに置いた。
このまま寝かせておくのが一番いいと思うけど……泊まるのか青木に確認しないまま寝かせていいのか?
明日は学校だし、やっぱり泊まるのは嫌がるかも。
俺は青木を起こそうとしたけどその手は止まった。真っ赤な顔をしている青木を起こすのは可哀想だと思ったから。
時間はまだ18時前だし、自然に起きるのを待とう。