あの雨の日、きみの想いに涙した。
そのあと青木が目を覚ましたのは20時を回った頃だった。オレンジ色の夕日はなくなり外はすっかり真っ暗。
「……ん……あれ?私本当に寝ちゃってた?」
青木は目を擦りながら俺に確認をする。俺はベッドを背もたれにしてテレビを見ていた。
「具合はどう?」
「うーん、イマイチかな。あんまり変わってない」
青木はだるそうにベッドから体を起こした。いつもなら絶対にダメでも平気って言うのに相当ツラいんだな。
「食欲はある?」
俺の言葉に青木は苦笑いで首を横に振る。俺は袋から飲みものを取りだしてそれを青木に渡した。
「とりあえずなんか飲んだほうがいいよ」
青木は「ありがとう」と言って飲みものを口にふくむ。俺の家に体温計はないけど、たぶん青木の熱は上がってる。
「……今日はそのままそこで寝ていいよ。俺は違う部屋で寝るし」
すぐに返事が返ってこなくて、わずかな沈黙が長く感じた。
「……ありがとう。そうだね。この状態じゃひとりで家に帰れないし……」
「うん」
「でもこんな広い家で別々に寝るのは寂しいから私は同じ部屋でいいよ。冴木くんさえよければの話だけど」