あの雨の日、きみの想いに涙した。




正直ドキッとした。

だって青木は絶対に俺と同じ部屋は嫌だと思ったのに。俺さえよければって家に連れてきたのは俺だし、嫌がるわけがないのに。


「それなら今日はそのまま寝なよ。俺は下で寝るから」

「ごめんね。ベッド使わせてもらっちゃって」

「大丈夫。どこでも寝れるタイプだから」

普通ならばここで「私は冴木くんを信用してるからね」なんてからかいそうだけど青木はなにも言わなかった。


もしこれが俺じゃなくてべつのだれかでも青木は泊まったりするんだろうか。そんなバカなことを考えた。

〝信用してる〟なんて言われなくても、青木が俺を疑わないことは知っている。

だけど例え信用してても男は男。もっとも熱をだしてる女に手を出そうと考える男はクズだけど。


俺は青木に触れない。そんな対象で見ないし見たくない。


それは女として見てないとかじゃなくて、青木は他の人とは違うから。

それに、青木に触れる〝俺〟を絶対に〝俺〟は許さないと思う。

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