あの雨の日、きみの想いに涙した。
次の日学校に行くと突然ガシッと腕を掴まれた。昇降口で靴を入れていた俺は冷静に振り返る。
「由希ー。なんで昨日返事くれなかったの?」
朝からばっちり化粧をした金髪にピアスの女が後ろに立っていた。
昨日……?ああ、あのメッセージはこいつだったのか。
でも女の顔を見てもいまいちピンとこない。だって金髪にピアスのギャル女はみんな同じに見えるから。
俺は女の手をはらって無言でシカトした。
……朝から面倒くさい。
「ねえ、ねえ、由ー希ーっ」
だけど女は俺のあとを付いてくる。わざと語尾を伸ばして甘えた口調。全然可愛くねーよ。
「もうねえってばっ!!」
3階に上がる階段の途中で女は俺の前に立ちはだかった。
段差のせいで女は俺と同じ目線になって、そのまま顔を近づけてくる。
朝の時間だけあって俺たちの横を他の生徒が行ったり来たり。ジロジロと見られてヒソヒソと言われて、俺の機嫌は一気に悪くなった。