あの雨の日、きみの想いに涙した。
「本当に昨日は色々ありがとう。おかげで熱は下がったみたい。あとごめんね。私のせいで遅刻……」
俺と青木は家を出て香月駅の前で足を止めた。
「遅刻とか今さら気にしても何十回もしてるから大丈夫だよ。それと家に着いたら連絡して。心配だから」
「うん。本当にありがとう。連絡する」
青木とはそこで別れて俺は駅の中へと入った。
一歩、二歩と静かに進んで後ろを振り返る。俺の目には家へと帰る青木の後ろ姿が映っている。その姿を見ながら俺は今朝の出来事を思い出していた。
【着信 麻奈】
青木のスマホが鳴ったのは朝の7時前。俺は手の中で鳴り続けている着信をただ見てることしかできなかった。
そのあと俺は気持ちを落ち着かせるためにコンビニに向かって、青木と別れて電車を待ってる今も同じことを考えている。