あの雨の日、きみの想いに涙した。
俺の名前は冴木由希。(さえぎゆき)
この学校に通う16歳の高校一年。ちなみに今は授業をサボって屋上でこんなことをしている。
この女は彼女でもなければ友達でもない。たしか名前はさき……あれ?さなだっけ……。まあ、どっちでもいいけど。
名前すらうろ覚えなのに体と体は無情にもひとつになる。そんな中、女は吐息交じりに問いかけてきた。
「私のこと、好き……?」
やっぱりこいつもバカ女だ。
俺は激しく体を揺さぶり、声が下の階にもれないように女の口を手で塞ぐ。
屋上でこんなことをしているのが悪いことだと思わない。でもいいことだとも思えない。どっちにしても誘ってきたこの女が悪い。