あの雨の日、きみの想いに涙した。




「そうだね。私は冴木くんのことが気にくわないし、ムカつく」

風が再び屋上に戻ってきてサァー……と宮野麻奈のスカートとを揺らした。

「だったら関わらなきゃいいって思うでしょ?近づかなければいいって考えるでしょ?でも無関係ではいられない。こんな気持ち冴木くんには一生わからないだろうね」

その時の宮野麻奈の顔が今まで傷つけてきたたくさんの女たちと重なった。


最低、最悪、冷たい人。

女たちはそう言いながらも俺に近づくことを止めなかった。

いや、俺をうまく利用していた女は離れていくのもうまかった。そんな女のほうがラクだったし、お互いその場で暇を潰せる関係を求めてた。

だけど中には面倒な女もいた。嫌いと言いながら何度も近づいてくる女。その度に俺は〝バカな女〟だとひと括りにしてきた。

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