あの雨の日、きみの想いに涙した。
俺が言えることはただひとつ。
難しい言葉じゃない。
こんなヤツの息子だから言える言葉。
「変われよ、親父」
変わることがどれだけ大変なことなのか俺はわかる。
変わりたいと望んでも簡単には変われないし、変わったあとだって今まで自分がしてきたことの報いが必ず返ってくる。
後悔ばかりが募る日々。
だけど人は変われる。
どんなにダメな人間でも必ず変われるんだ。
「………」
父親は無言だった。
こんな時、家族って厄介だなと思う。俺と父親が似ていることなんてわかってるし、たぶん考えてることも一緒。
「後悔して死ぬまで生きろよ」
俺の言葉に父親は顔を上げた。
俺も死ねたらラクだなって昔は何度も思ってた。自分自身に嫌気がさして、こんな風に毎日生きていかなきゃいけないのなら死んだほうがいいと思ってた。
だけどどんな顔して会えばいい?
俺を生かしてくれた母さんにどんな顔して会えばいい?
きっと俺は空に行ってもなにも変わらず、だれとも繋がれず、ひとりのままだった。
「どこに行ったって変わらなきゃ親父はひとりだ。……それならここにいれば」
「………」
「アンタと俺は死ぬまで繋がってるんだから」