あの雨の日、きみの想いに涙した。
待ち合わせ場所は俺の母校である中学校。今日は晴天だったから、きっと綺麗な星が見えると思う。
〝綺麗だねって言い合いたかったの。冴木くんと〟
うん。俺も、ただ綺麗なものを見て綺麗だねって言い合えればそれで十分なんだよ。十分だったんだよ。
俺がだれかとなにかをして、分かち合えることは奇跡みたいなことで、きっとそれだけで俺は変わることができたんだと思う。
こんなに心の奥深くに入り込まなくても、俺は十分青木の思いどおりに動いたし、傷つけることが目的だったなら、もっと早く種明かしをしても俺は自分でも驚くほど傷ついたと思う。
本当にこんなに奥深いところに居座らなくても、俺は青木を大切に思ってた。
残酷だよって俺が言える立場じゃないけど、『青木の役目は終わったから俺たちの関係も終わりだな』てそう割りきれないほど、大切になっちゃったんだよ。青木のこと。
たとえば裏切られても友達でいるヤツとか、たとえば嘘をつかれてもまだ恋人同士でいるヤツとか、そんなヤツらを見たら俺はいつも同じことを思ってた。
結局自分が一番怖いんだろ?って。
心が広いふりをして全てを許してやるヤツは、結局自分から離れる勇気がないだけ。
ひとりになりたくなくて、ひとりになるのが怖くて、ただ許すことしかできない弱いヤツだと、そう思ってた。
……どうやら俺もそんなバカなヤツらと同じらしい。
青木のことを知った今でも恨みや憎みなんて一切ない。
ただあるのは変わらず大切だということだけ。