あの雨の日、きみの想いに涙した。



俺は宮母川町から電車に揺られて、香月町に到着した。

宮母川町を出る時はまだ日が昇っていたのに、今は外灯が灯るぐらい薄暗くなっていた。

青木との待ち合わせ時間は19時。あと1時間以上あるけど俺は家に帰らずそのまま中学校へと向かった。


どうせ家に帰ってもすることはないし、きっと落ち着かない。それに……思えば待ち合わせをしてもいつだって俺は待たせてしまう側で、待つ側になったことはない。

こんな日だからこそ、俺は青木を待ちたい。


中学校に向かう途中、コンビニの前を通った。たしかこのコンビニで青木と鉢合わせになったこともあったっけ。

考えてみれば、香月町の慣れ親しんだ道も青木との思い出の道になってる。

もし今日で青木との関係が終わったら、俺はどんな気持ちでこの道を通るのだろう。

こんな気持ちになったのは生まれてはじめてで、一番近くにいたはずの人が一番遠くになってしまう気持ちなんて……
一生わからなくてもよかったのに。
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