あの雨の日、きみの想いに涙した。
その帰り道、俺はどうやって家まで帰ったのか覚えていない。気がつくとベッドの上にいて朝になっていた。
もしかして昨日の出来事は夢だったんじゃ……とご都合主義なことを考えてみたけど、そんなわけがない。
俺はとりあえずシャワーを浴びて、時計を見ると7時10分。髪を乾かして、制服に着替えても余裕で時間が余る。
今日は月曜日で学校なんて全然行く気がしないけど、このまま家にいるよりはいい。学校に行けば竹田もいるし、それなりに気が紛れるから。
俺はゆっくりと支度をして居間に向かうとある場所で目が止まった。それは母さんたちが眠る仏壇の花。
この花も青木が供えてくれたものだから、家の中にいても青木の存在を感じてしまう。
たとえば別れたカップルが思い出のものやお揃いのもを処分するのはもう思い出したくないという意思表示なのだろうか。それとも次に進むための心の整理?
それなら俺はこの花も一緒に行った場所も、青木が教えてくれたこの感情も、全て捨ててしまえば心は整理されるのかな?
……ってバカらしい。
俺は仏壇に飾ってある花を手に取って、いつものように水を換えた。全てを捨てるよりもこの花が枯れてしまうほうがずっと苦痛に思えたから。