あの雨の日、きみの想いに涙した。




俺はいつもより早い電車で学校に向かった。もちろんそれは青木と宮野が乗る電車と一緒になるのを避けるためだ。

なんだか逃げてるみたいで嫌だったけど、なにもなかった素振りができるほど強くもない。


その日学校に行ったのは正解だった。期待どおり竹田はうざいくらい元気だし、俺の重たい空気を吸いとってくれた感じ。

でもさすがだなと思ったのは俺の顔を見てすぐに『なんかあった?』と聞いてきたこと。


今さらだけど竹田って俺のことを一番よく理解してるんじゃないかって思う。俺はいつもの癖で〝なんもないよ〟と言いそうになったけど止めた。

自分で解決できないことは人に頼ってもいいような気がしたから。


「悩み相談したら、解決するまで付き合ってくれんの?」

半分は本気、半分は冗談だった。


「当たり前じゃん。とくに恋の相談なら俺に任せろよ。全然参考にならないけどな」

「じゃあ、いいや」

「ちょ、ちょっとちょっと!参考にはならないけど、俺の今までの失恋話聞いたら絶対元気になるって!」

結局俺は竹田の失恋話を聞かされることになった。話は長いし声はうるさいし最悪だったけど、気がつくと俺は自然に笑っていた。

友達ってこういう時、心強いんだなって改めて知った。
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