あの雨の日、きみの想いに涙した。
俺たちは屋上に移動した。休み時間は残り5分。絶対に次の授業に間に合わないと思ったけどどうせ寝る気だったし丁度いい。
宮野の容姿は少しだけ変わっていた。
明るい髪色は黒くなっていて、化粧もしてるかしてないかわからないぐらいナチュラル。
それは俺の知っている中学時代の宮野麻奈の面影だった。
「夏月に言ったんでしょ?本当のことを知ってるって」
「ああ、よかったな。こうして俺が落ちこんでるところが見られて」
俺が宮野にしたことは取り消せない。それにたいして恨みを持って同じことをしようとした気持ちも理解できる。だから……。
「俺は宮野を恨まないよ」
正直最初はムカついた。自分がしてきたことのしっぺ返しとわかっていながら、許せない気持ちのほうが勝っていた。
「やっぱり俺ってさ、強く頭を殴られなきゃ人の気持ちもわからないヤツだったから」
「………」
「それに嘘でも自分の意思じゃなくても青木と出逢えたことは俺にとってすごく大きなことだったんだ」
青木に会って俺は数えきれない感情を知ることができた。そのキッカケを与えてくれたのは紛れもない宮野だ。