あの雨の日、きみの想いに涙した。
なんとなく、宮野の心が見えた気がした。だれかを羨ましいと思う気持ちは少なからず俺にだってわかる。
いつも明るくて、こんな俺に優しくしてくれる竹田や青木になりたいと何度も思ったことがあるから。
「それで夏月が南女子校に受かって中学を卒業した4月にうちに遊びにきた。私が冴木くんのことで落ち込んでるのは知ってたから元気付けに来てくれたの」
「………」
「それでふと卒業アルバムを見ようってことになった。私は冴木くんから受けた傷が癒えてなかったし気乗りはしなかったんだけど、夏月は冴木くんのフルネームも顔も知らないし、教えなければわからないからいいやって気持ちで見せた」
「………」
「2組の個人ページを見て夏月は私の写真よりも違う写真に目を止めた。それで、この人優しそうだねって指さしたの。それが冴木くんの写真」
俺は宮野の言葉に目を丸くさせた。
優しそう?あの写真を見て?
卒アルの写真はだれかどう見ても不機嫌で、カメラを睨むような目つきをしていて、自分でも二度と見たくないほど。
優しそうという表現の真逆にあるはずの写真を見て、どうその感想に結び付くのかちょっと理解できない。