あの雨の日、きみの想いに涙した。
「理解できない思った?私もそうだよ」
「………」
「そのあとに『それが冴木くんだよ』って教えたら慌てて訂正してたけど、夏月の冴木くんへの第一印象は先入観もなにもなく顔だけを見て優しそうだって、そう言ったんだよね」
なぜだかジーンと心が熱くなった。そして宮野も俺と同じ色の瞳をしていた。
「夏月だからわかったんだろうね。きっと夏月にしかわからないんだよ」
宮野は繰り返すように言う。
青木だから?青木にしかわからない?
その簡単な答えに俺は納得してしまった。青木は見えないことや、見えづらいものもすぐに見つけてしまうから。
「その時強く思った。夏月に冴木くんを近づけちゃいけないってね」
「……?」
今までのつじつまが合わない発言。だけど次の言葉で俺は宮野の本当の気持ちを知る。
「私、振られた後も冴木くんが好きだった。電話で夏月に愚痴ってる時も、ずっとずっと諦めてなかったんだ」
〝でも無関係ではいられない。こんな気持ち冴木くんには一生分からないだろうね〟
あの時言った宮野の言葉、今やっと分かった気がした。
「同じ高校にしたのも、派手な格好をしたのも全部冴木くんに振り向いてほしかったから」
俺はなにも言えなくなった。自分の知らないところで、こんなに想ってくれてる人がいたこと。
俺は全然そんな人間じゃないのに。