あの雨の日、きみの想いに涙した。
俺はそれからの授業中、そして放課後まで青木のことばかり考えていた。
正直俺はまだ恋愛ってなんなのかハッキリとわかっていない。
なにが正解で、なにが不正解かわからなくて、なにをすれば楽しくて、なにをすれば喜んでもらえるのかさえわからない。
こんな俺がだれかを幸せにできるとは思わないし、自信なんてない。だけど青木を幸せにするのは俺であってほしいと強く思う。
今でも自分の気持ちを言葉にするのは難しくて、躊躇う気持ちもある。でもこの気持ちを言葉にしなかったら、俺は一生後悔すると思った。
学校が終わり帰り道、俺はスマホを耳に当てていた。
もしかしたら電話に出てくれないかもしれない。コール音は5回。そんな不安がよぎったところで発信音が止まった。
『もしもし』
電話の向こう側で、小さく呟いた声。ドクン……と一気に緊張が押し寄せてくる。
『青木』
何度この名前を呼んだだろう。
俺の人生の中で一番大切で、忘れられない名前。
きっとこれから何年経っても変わらない。