あの雨の日、きみの想いに涙した。



「じゃ、まず自己紹介しよっか」

店内に入って俺たちは大部屋に案内された。そこで男は男、女は女で向かい合わせに座る。


俺はドアに一番近い席に座って、その隣は竹田。竹田の第一声によって女子から自己紹介が始まった。

なんだろ、この雰囲気。もう帰りたいんだけど。まさか俺も自己紹介とかしなきゃいけねーの?勘弁しろよ。


次々と女子たちが自己紹介してく中で、俺はひとりだけ意味もなくカラオケの告知や採点方法が載っている紙をペラペラとめくっていた。


「長崎千尋(ながさきちひろ)です」

竹田の向かいに座る人が名前を言った。これが竹田の気になる子だ。


化粧が濃くて髪の毛もふわふわのゆる巻き。相変わらずどの女も同じ顔に見える俺は自分の自己紹介のときだけトイレにでも行ってなんとか回避できないかな、なんてそんなことばかりを考えていた。

そんな願いが叶うはずもなくて、女子の自己紹介が終わって次は俺たちの番になった。

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