あの雨の日、きみの想いに涙した。






『青木……なんでここに?』


先に口を開いたのは俺の方

だって白石駅は俺の高校の最寄り駅で、青木は絶対に利用しないし

青木の高校からだって白石駅はただの通過駅


俺は突然の再会にかなり戸惑っていた

すると青木はゆっくりと言った



『……麻奈がここで待っててって言ったの。今日の昼休みに電話があって』


俺はすぐにこの再会が偶然ではなく、宮野の仕業だと分かった


『でも麻奈なかなか来なくて、それでその間に冴木君から電話が……』



青木はまだ状況が理解出来ないみたいで言葉に詰まっていた



『宮野は多分来ないよ』


俺はハッキリと言い放った

きっと宮野なりに俺達の背中を押してくれたんだと思う


“私ね、正直こんなに上手くいくと思ってなかったの”


宮野がどんなシナリオを頭の中で描いていたかは知らない


でも多分俺がこんな風に誰かに一生懸命になって悩んだり、考えたり、戸惑うなんて想像もしていなかったんじゃないかな?

だって俺も自分で自分の事をこんな人間だったんだって思う程だから



宮野は俺を好きになってくれた

長い間ずっと


だからこそ…恋の難しさを知ってる宮野だから

誰かに背中を押してもらう勇気も必要だって知っていたんだと思う






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