あの雨の日、きみの想いに涙した。
「……でもいざ近づいてみたら冴木くんはガラス細工みたいな心を持ってた。脆くて繊細で触れただけで壊れてしまいそうな心を。だからいつしか気持ちは変わって、冴木くんのことが知りたいって、変えてあげたいって思うようになった」
震える声で話す青木を俺はじっと見つめた。
「でもあの雨の日。冴木くんが過去の話をしてくれたとき、正直私ではムリだって思った」
青木の目が少しずつ潤んでいくのを感じた。
何気なく話した俺の過去。俺の心は軽くなったけど、そのぶん青木の心を重くしてしまった気がして後悔という二文字が俺の頭をよぎる。
「でも私、気づいたら冴木くんの手を握ってた」
「………」
「救ってあげたいって思った。私にできることがあるならどんなことでもしたいって」
今度は俺のほうが泣きそうなってしまった。青木はいつだって簡単に俺の心を奪っていく。