あの雨の日、きみの想いに涙した。



「だからあの日、冴木くんは私に言ったでしょ?俺は青木がいたから今も生きてる。それでこれからも生きていけると思ったって」

「うん」

「……すごく嬉しかった。でも本当は冴木くんの心を興味本意で知ろうとした自分が悔しかった」

もしかしたら青木は俺に罪悪感を抱いていたのかもしれない。言いたくても言えなかったこと。青木はうつ向いて手に力を入れた。


「……本当は、本当は麻奈の気持ちにも気づいてた。麻奈は冴木くんのことを今でも想ってるってこと」

青木の目からポタポタと涙が溢れた。やっぱり青木の涙を見ると胸が痛くなる。


「……だから、冴木くんの一番近い場所にいたらいけないって思った。……でも会えばいつも、もう少しもう少しだけって……」


言葉に詰まりながら話す青木を見て俺の足がピクリと動いた。青木は涙を必死に拭い、真っ赤な目をしながら再び顔を上げる。


「冴木くん……私ね……」

「青木、待って」

そう言いかけた言葉を遮ったのは俺だった。

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