あの雨の日、きみの想いに涙した。
今まで俺の全てだった過去の自分。迷い、苦しみ、ここまできた。
俺はそんな自分を絶対に切り捨てない。
これからは今の自分、そして過去の自分も、愛して、愛して大切にする。
「あ、流れ星……!」
青木が指をさして大声を出した。それは一瞬で、たったの3秒。
「なんか願いごとしたの?」
「言ってない、冴木くんは?」
俺は流れ星がとおった場所を見つめた。
「俺も言ってないよ」
お互いになにも言わなかった願い。だって一番強く想う願いはもう叶ったから。それがなにより綺麗で大切で、宝物で、そして世界で一番愛しいものだと知った。
「冴木くん、これからも傍にいさせてね」
青木が照れながら俺を見る。
きっと情けない俺もカッコわるい俺もたくさん見せてしまうと思う。でも俺もたくさん青木の知らない顔が見たいから。
「じゃあ、これからも傍にいてください」
「ふふ、はい」
俺と青木は見つめ合いながら笑って、心から、本当に心から幸せに思った。
【完】