あの雨の日、きみの想いに涙した。



俺は母親を守りたかった。

でも母親は俺を捨てた。


父親の暴力に耐えきれなくなって、ひとりで家を出ていった。


その時の俺の気持ちなんて誰にも理解できないだろう。


母親は嫌というほど父親の暴力を知っていたのに、そこに俺ひとりを置いていった。その日から俺は母親の分まで殴られ続けた。
 
ここで暴力を振るっている父親より、なぜか無性に母親が憎かった。信用していたからこそ、裏切られたようなそんな気分。


それから暫く経って、俺は母親の両親の元で暮らすことになった。

母親は夫の暴力を両親に言ってなかった。いつも心配をかけたくないとぼやいてたくせに突然の失踪。どっちにしても迷惑をかけるんじゃないかと幼いながらに思っていたことを思い出す。

< 4 / 291 >

この作品をシェア

pagetop