あの雨の日、きみの想いに涙した。
「ってかみんなが心配するから戻ったほうがいいんじゃない?」
俺の中にある最大限の優しい言葉。
竹田が気になる人に対して俺が普段女にしてる態度をするわけにもいかない。でも全身に鳥肌がたつぐらい気持ちわるくて、今日だけ今だけと必死に暗示をかけた。
「えーまだいいじゃん!私加藤くんと話したいしさ」
ピキピキと顔が引きつる。
「俺と話してもつまんないよ。だから戻ろう?」
「やだー!ってかふたりで抜けない?みんな私たちがいなくても盛り上がってるし」
長崎はそう言って俺の腕に手を絡ませてきた。
……ヤバい。うざすぎる。
竹田にはわるいから言いたくないけど、この女も今までのヤツらと同じ。俺の外見だけで近づいてきて、すぐにベタベタと体に触る。
こんな女やめとけばいいのに。そもそもふたりで抜けたら全部意味がなくなるんだよ。
竹田はお前目当てなのに本当にうぜーよ。なにもかも。
すぐに長崎の手を強くはらってやろうと思ったけど、今まで耐えた時間が無駄になる気がしてグッと感情を抑えた。