あの雨の日、きみの想いに涙した。


なんで大人しいフリをしていたのか、なんで俺の正体を知ってることを黙っていたのか。

気になることはたくさんあるけど、この女がどんなに猫をかぶっていようと俺にはどうでもいいこと。


『合コンで出会いを求めてるならもっとノリのいい女を演じたほうがいいよ』

俺はそれだけを言ってまた女に背を向けた。


『出会いなんか求めてないよ。私が興味あるのは冴木由希だけだから』


女の言葉に俺は歩き進める足をピタリと止める。

それと同時にいつもみたいにこう思った。

……ああ、こいつもバカ女かって。

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